Planet B

外資系マーケ部門に所属しながらDesignとBrandingについて思索するブログ。または運命の軌跡を辿るPlanetB滞在記。

Expertiseとは「好きの深さ」であるという仮説。

このあいだ、仕事帰りに英語学習コミュニティのカフェ英会話♪に参加した*1。その際、自己紹介の中で「前はこういう仕事をしていて、今これをしている」といった話をしたところ、「どのようにしてその職につくチャンスを得たのか?専門性があったのか?」と質問された。Good Questionだったので、その時答えながら色々考えたことを、再度まとめたい。

 

私がどうして好きな分野の仕事に就けたのだろう?

 

振り返ってみると、私はこれまでどちらかといえばややダウンストリームよりの業務をしていた。そして色々ときっかけがあり、面接を受け、今はアップストリームよりの仕事をしている。もっと日本ぽく言うと、現場目線から、戦略目線になったイメージだ。ではその面接で評価されたポイントは、なんだっただろうか?

 

個人的には、ダウンストリームでの業務実績が大きなポイントではなかった、と思う。全く評価の対象として見られなかったわけではないし、いってみればボーダーラインの判定には使われただろう。この会社でこれくらいのポジションでこういう部署にいるということは、これくらいのことは出来るのだろう、といったような見方だ。でも、そんな人なら他にも山ほどいる。そして、今の仕事は、前の仕事の専門性が必ずしも必要というわけでもない。

 

では、私が評価された(期待された)部分はなんだったのだろうか?

あくまで主観的な想像だが、それは、好きなこと(=デザイン系分野)へのパッションと、そのパッションをもとに実際に個人的に活動していた部分が大きいと思う。

 

日記でも書いてきたが、私は前の仕事をしていたとき、業務外の時間で、いわば趣味としてデザイン関連のイベントに参加したり、本を読んだり、話を聞きに行ったり、勉強したりしていた。時には土日フルで勉強し、結果的に1~2か月以上休みなく働き、学ぶような生活もして倒れるかと思った(実はチョット倒れた)。でもなぜそれをしていたかというと、それに興味があり、好きだったからだ。また、業務には直結しないが、間接的には影響するようなことだと思っていた。仮にすぐ使える知識でなくても、好きでやることは楽しく、報酬がなくとも自主的に動くことが出来た。

 

言い換えると、私の好きなことに対する能動性が、Expertise(Potential Expertise) として捉えられ、評価されたのだと思う。なお、一口に「好きだから」といっても、「好きの深度」にもいろいろある。「カレーが好き」、「本屋をぶらぶらするのが好き」。それも「好き」だろう。でも、例えばムツゴロウさんのいう「動物が好き」と比べたら、「好きの深度」が全然違う。深い。「深く好きであること」がExpertiseであると私は思う。つまりこういうことだ:「深く好きであること=好きなものへのパッション+能動性=Expertise」。 

 

そういえば、これは以前同僚と話したことなのだが、専門性は「とある専門的な業界/会社で働いていたらかといって身につくものではない」とも思う。転職経験のある同僚は、以前とある別業界の大手企業で働いていたらしい。そして3年ほど働いたときにふと思ったそうだ。「この会社で働けば、xxという専門性が身につくと思ったけど、ついてない!」と。身についたのは、プロジェクトマネジメントスキルや、事務的なスキルのみ。少なくとも本人は、業界のExpertiseが身についたとは感じられず、また転職の際にも評価されていなかったとのことだった。

これは多分おおよそ日本のどこの会社でも同じで、与えられた業務だけをこなすだけでは、「その会社」について詳しくはなっても、専門性は身につかない。会社について詳しくなるとは、「どういった会議体があって、どういったプロセスがあって、どんな暗黙のルールがあり、部署の得意不得意分野、システムの特異性、この会社で求められる資料作成のお作法がある」などなどのことだ。きっと、働けば働くほどすごく詳しくなる。しかし、「で?」である。会社に詳しい人は、会社をまわしていくうえで、ある程度は必要だ。が、それだけでは絶えず入れ替えできるコモディティ人材のままになってしまうし、労働市場においてはそういう人材の価値は低い。また、一番大事なことだが、当事者としてその仕事をしていて「ツマラナイ」と思う。

やはりExpertiseは、必ずしも業務の中でうまれるものではなく、本人の「好き」の深さから生まれるものなのだと思った。

 

話を少し戻そう。

では主観的な話のみならず、実際に、私の評価された部分が、Expertiseになりえる部分だったとしよう。そうはいっても、同じようなことを好きでやっているリアルなExpertはリアルにもっとExpertだ…。私はまだまだ、まだまだまだまだ、朝飯前の、いや、丑三つ時の、いや、深夜0時1分くらのレベルでしかない。いい夢を見るためのスタートとしてふかふかのお布団に入ったくらいのレベルだ。けれど、好きなことがあるというだけで、結構強い。Expertiseは、好きなものを極めるなかで生まれ、高まっていくのだと思う。これからも好きを追いかけ、Expertiseを高めていきたい。

 

*1:「カフェ英会話♪」の回し者でもなんでもないのだが、一応簡単に説明すると、「カフェ英会話♪」とは、一般のカフェを使って、英会話を学びたいもの同士が英会話をするためのラーニングコミュニティ、といったところだ。サークルというほどの連帯感もないが、スクールというほどの強さもない。普通のカフェの3~4テーブルほどを借りて、1テーブル3~4人程度で1時間半程度、英語だけで会話をする。